自転車の青切符導入で守るべきルールが増えたって本当?

自転車の青切符制度が導入されて2ヶ月ほどがたちました。
自転車の乗り方を意識するようになったという人が増えた一方で、ルールが増えてよくわからないので自転車に乗るのを控えるようになった、という人もいると聞きます。
確かに、自転車の運転に関する違反行為が道路交通法に明記されたことで、警察の取り締まりにあってしまう可能性は増えました。しかし、そのほとんどは、自転車で安全に運転するために守るべき常識であって、逆に言えば、常識で考えて守るべきことを守れば、基本的に問題はありません。ただ、一部には常識で判断しづらいルールもあると思います。
この記事では、行政書士の業務とは少し外れるのですが、この自転車の青切符制度と改正道路交通法について解説しようと思います。
私は、行政書士の仕事でも、相模原市内やその近郊であれば、自転車でどこにでも出かけています。自転車を運転していて、ちょっとこれは危ないなと思うような自転車の運転に遭遇することが度々あります。
1つは、道路に「止まれ」とか一時停止標識が出ているような交差点で、全くスピードを緩めることなく、そのまま直進していく自転車です。これは住宅街の細い道路などでよく見かけます。
そうした道路では交通量が少ないとはいえ、横から車や歩行者が通行して来たら衝突してしまう恐れもあります。恐らく、リスクを想定しながら運転するということができていないのでしょう。
また、狭い歩道を速いスピードで走行し、前を行く歩行者の横のぎりぎりをすり抜けていくような運転も、歩行者との接触リスクとか、すり抜けようとした時に歩行者が想定外の動きをしたためにハンドル操作を誤ってしまう可能性などのリスクを想定していないように感じます。
こうして例として挙げた行為は、皆さんが第三者として見かけた場合には危険だと感じるものだと思います。つまり常識的にやってはいけない行為と考えていただけると思いますし、青切符制度で反則の対象となっているものは、そうした行為なのです。反則行為が130個も定義されて覚えられない、ではなく、常識的にダメだろうと考えられるものは反則行為の内に入っているだろうと、そのように考えると良いと思います。
ただ、一部には常識で考えたときに、これは違反と言えるのかどうなのか、と迷うような事項もあります。
例えば、「自転車で歩道を走行してはいけないのか?」
これがその代表例だと思いますが、皆さんどう思われますか?
実は道路交通法の63条の3には、次のような規定があります。
「普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定(車両は車道を通行しなければならないという規定)にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。」
そしてどのような場合が掲げられているのかというと、

一 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
つまり、歩道を通行しても良いという表示がある場合、子供が自転車を運転している場合、そして車道を通行することが危険だと感じる場合、こういう場合は歩道を通行しても良いことになっていて、自転車は必ずしも歩道を通行してはいけないわけではないのです。
ただし、同じ63条の3の2項には、歩行者を優先しなければならない規定があるので、歩行者の歩行を妨げるような通行、歩行者を無理に追い抜くような走行、自転車のベルを鳴らして前を行く歩行者を退かせて通行しようとする行為は違反に該当します。気をつけましょう。
ところで、青切符制度が始まって、青切符詐欺もニュースで話題になっています。警官のような格好をした者が、自転車通行違反を指摘して、その場で反則金を徴収しようとする行為です。
こうした詐欺に引っかからないように覚えておいていただきたいのは、警察官は罪の摘発や拘束はできても、執行はできない、ということです。反則金の徴収は反則行為に対する”刑の執行”に当たる行為ですから、警察官が反則金を徴収することは絶対にありません
では、青切符を切られた場合のその後の手続きはどのようになっているのかというと、青切符と一緒に納付書というのが渡され、そこには納付先の口座情報や支払い先の記載があるので、切符を切られてから7日以内に青切符に記載された反則金を振り込むか、指定の支払い先に出頭して支払いの手続きを行います。
この支払いを無視したらどうなるのでしょうか?当然警察からは督促状が届きますが、それでも無視し続けるとどうなるでしょう?
実は道路交通法違反の行為は、前科の付く行為なのです。例えば歩道を歩行者の妨げになるような通行、あるいは危険なスピードで走行した場合には、道路交通法の121条に「2万円以下の罰金又は科料に処す」と規定されていて、もともと罰金刑という前科のつくような犯罪行為として規定されているのです。それが、一部の軽微なものについては「反則金」で処分することができるように125条で規定され、歩道通行違反の場合、とりあえずは前科のつかない青切符と4千円の反則金の支払いで処罰が済む事となっているのです。従って青切符を無視し続けた場合、いよいよ2万円の罰金と前科がつくということにもなりかねないので、それはやめておきましょう。
以上、自転車の青切符制度のお話でした。